西日本皮膚科
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症例
頬部紅斑より診断し得た IgG4 関連疾患の 1 例
末永 亜紗子江藤 綾桂中原 真希子古江 増隆
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2020 年 82 巻 4 号 p. 276-279

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抄録

73 歳,女性。初診の 8 年前に左上眼瞼の腫脹を自覚し,増悪と軽快を繰り返していた。初診の 1 年前に左視力の低下を自覚し,頭部 MRI で眼窩内の腫瘤を指摘された。精査の結果,IgG4 関連疾患疑診群の診断となり,プレドニゾロン(PSL)30 mg/日の内服を開始された。その後視力は徐々に改善し,PSL は漸減後中止された。初診 4 カ月前に左頬部に紅斑が出現し,当科を受診した。初診時,左頬部から下顎にかけ瘙痒と浸潤を伴う類円形の紅斑局面を認めた。病理組織学的には,真皮に斑状のリンパ球と形質細胞の浸潤を認め,ムチンの沈着と好酸球浸潤を認めた。免疫組織化学染色では,CD138 陽性形質細胞の 50%が IgG4 染色陽性であり,血清の IgG4 は 300 mg/dl と上昇しており,IgG4 関連疾患と診断した。全身 CT 検査では,明らかな異常所見は認めなかった。局所療法としてエキシマライトによる紫外線療法を開始し,照射1 カ月で紅斑は残存しているが浸潤は消失した。IgG4 関連疾患に伴う複数の臓器病変は必ずしも同時期に発現するとは限らない。自験例は IgG4 関連疾患疑診群の診断となり 1 年後に原発疹と考えられる皮疹が出現し確定診断に至ることができた。治療はエキシマライトによる局所療法が奏効している。これまでの本邦報告例をみても,エキシマライトでの改善例の報告はなかった。 IgG4 関連皮膚疾患の報告は増えてきているが未だ診断基準,治療法に確立されたものはなく,今後の症例の蓄積と検討が期待される。

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