西日本皮膚科
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症例
膿痂疹の合併により皮疹の増悪がみられた尋常性乾癬の 1 例
鶴町 宗大根木 治木村 有太子髙森 建二須賀 康
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2019 年 81 巻 6 号 p. 483-486

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抄録

62 歳,女性。5 年ほど前より,頭部・陰毛部などに瘙痒を伴う紅斑局面が繰り返し出現し,近医では脂漏性皮膚炎と診断され,strongest class のステロイド外用と抗アレルギー剤内服で治療されていた。初診の数週前から,搔破により耳介部,鼻孔周囲などに次第にびらんを生じるようになり,皮疹は全身に拡大した。管理が困難となったため,精査加療を目的に当科に紹介された。皮疹からの細菌培養と皮膚生検の結果より,黄色ブドウ球菌による膿痂疹を合併した尋常性乾癬と診断した。ステロイド外用剤をランクダウンし,薬剤感受性試験に合わせた抗菌剤の内服薬・外用薬の投与で,膿痂疹のコントロールを行った。次いで拡大・増悪した乾癬に対しては,IL-17A の作用を阻害する生物学的製剤であるセクキヌマブ,続いてイキセキズマブの投与を行ったところ,皮疹および脱毛症状も改善した。皮膚の細菌感染により乾癬皮疹の増悪を繰り返し,管理が困難となっている難治例においては,自験例のように,1)まず抗菌剤で適切に細菌感染症のコントロールを行い,2)最終的には感染に対して比較的安全と考えられる IL-17A の生物製剤を併用することで対応が可能と考えた。

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© 2019 日本皮膚科学会西部支部
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