西日本皮膚科
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症例
部分生検でLentigo Simplexと診断されていた悪性黒色腫の1例
飛田 礼子澄川 靖之草竹 兼司新原 寛之千貫 祐子森田 栄伸鈴木 久美子
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2010 年 72 巻 6 号 p. 600-603

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抄録

60歳台, 男性。20年前から右踵部に拇指頭大の黒色の色素斑を認めていた。3年前に徐々に拡大してきたため, 近医にて部分生検を施行, 病理組織からlentigo simplexと診断されていた。経過をみていたところ, 皮疹の拡大と色の濃淡を認めてきた。初診時, 右踵部に70×40 mmの不整形の色素斑を認めた。境界は不明瞭で, 色調の濃淡がみられた。ダーモスコピーではparallel ridge patternとdepigmentationを認めた。悪性黒色腫が疑われ全切除生検を行った。臨床所見と病理所見よりacral lentiginous melanoma in situと診断した。前医の生検の時点で悪性黒色腫を生じていたのか, あるいは生検後に生じたのかは不明であった。しかし, 部分生検の所見がその病変全体の状態を反映しているとは限らないことから, 悪性黒色腫が疑われる症例では可能な限り全切除生検が望ましいと考えられた。

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© 2010 日本皮膚科学会西部支部
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