西日本皮膚科
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症例
広島市立安佐市民病院におけるツツガムシ病62例の検討
渡辺 真記子水野 寛平島 昌生
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2009 年 71 巻 2 号 p. 156-159

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抄録

広島市立安佐市民病院において近年経験したツツガムシ病の代表例を供覧するとともに,1998年1月から2007年12月までの10年間に当院で経験したツツガムシ病62例について臨床的検討を行ったので報告する。解析症例は男性34例,女性28例で平均52.2歳であった。発症月は10~12月が58例(93.5%)であった。また,51例(82.3%)が広島市安佐北区に居住していた。発症後患者が初めにどの診療科を受診しているかを調べたところ内科が49例(79.0%)と最も多かった。臨床症状について発熱は62例(100%),発疹61例(98.4%),刺し口53例(85.5%),リンパ節腫脹41例(66.1%)に認められた。発熱が皮疹に先行した症例が57例中50例(88%)と多数を占め,発熱から発疹出現までの平均は3.5日であった。検査データについては異型リンパ球の出現を59例中48例(81.4%)に認め肝機能障害は57例(91.9%)に認められた。血小板減少は10例(16.1%)で認められたが,DICを併発した例はなかった。ツツガムシ病に感受性のある治療を開始してから解熱までは平均1.5日であり,いずれの症例もすみやかに解熱する傾向が認められた。これらは今後の診療においても目安となると思われた。

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© 2009 日本皮膚科学会西部支部
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