2007 年 69 巻 4 号 p. 396-399
67歳,男性。2005年12月初診。1年前から右大腿部の皮下硬結を自覚していた。自覚症状なく,増大傾向もないが気になるため当科受診。MRIでは皮下脂肪織内に索状影が認められ,末梢血好酸球は正常範囲内だった。生検で脂肪織内から白色の虫体が出現,血清ELISA法にてマンソン孤虫症と確定診断された。本症例で認められたMRIの索状影は虫体ならびに虫体に対する異物反応を反映していると考えられた。移動性のある皮下腫瘤であれば寄生虫症を疑えるが,本症例のように移動性のない皮下硬結で画像所見に索状ないし線状所見を認めた場合は,マンソン孤虫症も鑑別診断の一つとして考慮されるべきであると考えられた。