西日本皮膚科
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症例
Coma Blister
後藤 一史小関 伸近藤 慈夫
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1995 年 57 巻 5 号 p. 943-947

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抄録

ビールを摂取した後に過量の向精神薬などの薬剤を服用しコンパートメント症候群とcoma blisterを生じた35歳の男性例を報告した。四肢に緊満性水疱と浸潤性紅斑を, 顔面·臀部に潰瘍を認めた。患者は左下肢のしびれと疼痛を訴えており, 同部は軽度の発赤と腫脹を示し, 左アキレス腱反射は消失していた。臨床検査成績では血沈の亢進, 白血球増多, CRP陽性, CPK, ミオグロブリン, アルドラーゼ, GOT, GPT, LDHの高値を認めた。水疱部の組織学的検索では表皮の壊死, 表皮下水疱とエクリン汗腺の導管および分泌部の壊死を認めた。CT, MRI検査では左大腿∼臀部の横紋筋融解症に一致する所見を得た。以上より本症例をコンパートメント症候群による左坐骨神経麻痺と横紋筋融解症を合併したcoma blisterと診断した。

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© 1995 日本皮膚科学会西部支部
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