西日本皮膚科
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症例
MRSA敗血症を併発して急死した類天疱瘡の1例
西嶋 攝子宗 弘東田 敏明朝田 康夫速水 誠
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1992 年 54 巻 1 号 p. 16-21

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抄録

Methicillin resistant Staphylococcus aureus (MRSA)の分離は本邦においては1980年代より増加が認められ1)∼4), とくに病棟から分離される率が高いと報告されている5)6)。われわれの病院では病棟から分離される黄色ブドウ球菌(以下黄ブ菌)中にMRSAの占める割合はすでに70%をこえており, compromised hostの多い病棟では院内での感染防止が重要な課題となっている。Compromised hostにMRSAの感染症を併発すると致命的な経過をとることも多い7)8)。今回われわれはステロイドで治療中, 敗血症を併発して急死した類天疱瘡患者(87歳, 女性)の皮膚と血液からMRSAを分離した。同時期この患者と同室の患者からも黄ブ菌(MRSA, methicillin sensitive S. aureus, MSSA)が分離されていた。そのため院内感染の可能性も考えて, 同室より分離されたすべての黄ブ菌の薬剤感受性(minimum inhibitory concentration, MIC), ファージ型, コアグラーゼ型の検討を行った。今回の結果からは同室内感染は否定的であったが, 院内感染の可能性は残った。自験例を中心にMRSA感染症と院内感染の問題点を検討したので報告する。

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© 1992 日本皮膚科学会西部支部
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