西日本皮膚科
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治療
重症尋常性乾癬に対するシクロスポリン·ソフトゼラチンカプセルの臨床効果の検討
中川 秀己鳥居 秀嗣朝比奈 昭彦石橋 康正
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1991 年 53 巻 3 号 p. 583-586

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抄録

シクロスポリンの乾癬に対する効果については, 欧米および本邦において多数の臨床試験がなされ, すでにその有効性は3∼5mg/kg/dayの低用量で明らかにされている。一方, その投与方法については様々な見解が報告されており, 現在精力的に検討されている。以前にわれわれは様々な治療に抵抗性の重症局面型乾癬患者14例に対し, 5mg/kg/dayの初期投与量より開始, 漸減する方法で満足すべき結果を得た。今回われわれは重症の尋常性乾癬患者5例に対して, シクロスポリン·ソフトゼラチンカプセルを4mg/kg/dayから開始し, 臨床効果にしたがって漸減する方法を用いて治療を試みたところ, 十分な効果が認められた。また投与中止に至るような重篤な副作用は認められなかった。以上により, 重症の乾癬に対してシクロスポリン·ソフトゼラチンカプセル初期投与量4mg/kg/dayにより良好な成績が得られたが, その使用にあたっては安全性に十分に留意した上で, 可能な症例では初期投与量を5mg/kg/dayとした方が皮疹の改善がより速やかであると考えられた。

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© 1991 日本皮膚科学会西部支部
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