西日本皮膚科
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症例
種痘様水疱症
—とくにその誘発波長について—
水野 久美子石原 勝
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1980 年 42 巻 3 号 p. 429-433

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抄録

7才女子例を報告した。3才ころより日光照射後, おもに顔面, 耳介, 手背にそう痒を伴う紅斑, 丘疹, 小水疱を反覆して形成し, 瘢痕を残して治癒するようになつた。一般検査ではIgGの軽度上昇がみられ, アミノ酸分析では血中Tau., Glu., 尿中Lys., Glu.の上昇がみられた。トリプトファン負荷試験では尿トリプトファンの明らかな上昇はみられなかつた。尿中, 血中ポルフィリン値は正常であつた。種々の光線過敏性試験を施行したところ, 1) 5月晴天時, UV35のガラスフィルターを用いた3回の各1時間ずつの日光照射では全回丘疹, 小水疱を, UV37, 39使用部は各1回小水疱の形成をみた。2) 東芝医療紫外線M-DMR-II型による長波長紫外線30分照射では紅斑, 中波長20分照射では浮腫性紅斑をみたのみであつた。3) UV29を挿入したキセノンランプ30分照射では浮腫性紅斑をみたが, 7日間連日7分照射でも水疱の形成はみられなかつた。4) モノクロメーターでは340∼401nm照射部位に紅斑を生じた。以上の所見より長波長紫外線が本疾患の誘発波長であると推測された。

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© 1980 日本皮膚科学会西部支部
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