1973 年 35 巻 3 号 p. 263-268
頭・顔・頸部の皮膚上皮性悪性瘍(基底細胞腫・有棘細胞癌・癌皮膚転移・老人性角化腫・白色角板症・ボーエン病・ケラトアカントームなど) 76例にデルモパンによる治療をおこない,その術式・下床の保護・治療効果・整容効果などを検討した。下床としてとくに問題となるものは,眼球・骨・軟骨などで,これらのAugenschale,鉛板などによる被覆,照射方法による負荷軽減につき解説した。長期間その経過を追求しえた48例では著効,有効30例(75%),軽快2例(5%),無効・再発および引続いて手術をおこなつたもの8例(20%)であつた。顔面ではとくに整容的効果が問題となるが,まつたく後遺症のないもの9例,一応満足すべき結果といいうるもの18例(31例中)であつた。悪性腫瘍の治療方式は患者の条件(年令・一般状態・社会的条件など)や加療者の特技などを考慮して選択すべきものであり,ここにおいても,Stahl oder Strahlといつた対立的争いをすることは無意味である。私は従来までとくに力を入れて専門としてきた皮膚放射線療法の頭顔頸部皮膚腫瘍への応用について,ここにその簡単な総説を試みた。