西日本皮膚科
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研究
ラモトリギンによる薬剤性過敏症症候群の 1 例
分山 英子岩永 洋田中 洋一
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2018 年 80 巻 2 号 p. 133-136

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抄録

61 歳,男性。小児期よりてんかんの治療を行っており,多剤の抗てんかん薬による肝障害の既往があった。バルプロ酸ナトリウム (VPA) とラモトリギン (LTG) の併用開始 26 日目より 38℃台の発熱を認め,29 日目より顔面を含む全身に鱗屑を伴う紅斑が出現し,36 日目に当科を初診した。薬剤性過敏症症候群 (drug-induced hypersensitivity syndrome:DIHS) を疑い,LTG を中止し,プレドニゾロン 20 mg/日の内服を開始した。抗 HHV-6 IgG 抗体は,初診時に 20 倍,その 3 週間後に 160 倍と有意な上昇を認めた。初診から 3 日目の薬剤リンパ球刺激試験では,LTG が陽性,VPA は陰性であった。リンパ節腫脹を除き,他の診断基準は満たしており DIHS と診断した。LTG は,推奨された用量の逸脱や,VPA との併用によって重症薬疹を発症する場合が多いことが報告されているが,一方で,LTG 単独での DIHS の報告も多い。自験例では,VPA に LTG が推奨用量で投与されていたが,投与開始から約 4 週後に DIHS を発症した。また,プレドニゾロンの減量中に皮疹の再燃を認めた。LTG の用量遵守や VPA 併用の有無だけでは,DIHS の発症の予測は困難で,肝障害の既往やステロイドの減量法にも注意が必要と考えられた。

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© 2018 日本皮膚科学会西部支部
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