西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
筋緊張性ジストロフィーと耳下腺多形性腺腫を合併した多発性毛母腫
安川 香菜小野塚 貴加藤 直子田中 克彦
著者情報
ジャーナル 認証あり

1998 年 60 巻 5 号 p. 634-638

詳細
抄録

43歳の女性。5年前から拇指頭大までの固い結節が臀部, 胃部, 左肘窩, 前胸部に生じた。臀部の結節は一部に石灰化を伴う境界明瞭な多嚢腫状の腫瘍で, 腫瘍細胞は好酸性の胞体を有し, 核が消失するshadow cellであった。以上から多発性毛母腫と診断した。また特発性心室頻拍, 耳下腺多形性腺腫の既往があり跛行, 発語不明瞭, 独特のオノ様顔貌が認められ, 筋緊張性ジストロフィー(MyD)の合併を疑い精査し確定診断に至った。MyDに合併する毛母腫は本症例と同様に, 多発し, かつ頭部に好発する傾向があった。両疾患が合併する理由として共通の遺伝的背景が示唆されており, 毛母腫はMyDの皮膚症状のひとつと銘記したい。また最近ではMyDと耳下腺多形性腺腫の関連も示唆されている。

著者関連情報
© 1998 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top