西日本皮膚科
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治療
香粧品アレルギー患者に対する抗原除去治療による長期Follow up成績
渡辺 直昭
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1989 年 51 巻 1 号 p. 113-130

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抄録

抗原除去治療は皮膚科においては比較的新しい治療法で, これにより多数の症例を3年以上follow upした報告はきわめて少ない。化粧品シリーズ·パッチテスト·アレルゲンでclosed patch testをおこない, acylglutamate石けん(Minon)および抗原除去型化粧品(Clinica, Acsene)以外用いないように指導し, 美容院の協力と教室方式の患者指導を併用することで, 原因アレルゲンを患者皮膚に接触させない治療を長年おこなつて, その効果を観察した。色素沈着型化粧品皮膚炎53例, 再発性化粧品皮膚炎26例, ステロイド皮膚症11例について3∼11年follow upした結果, 全治+略治70例(78%), 著明改善+改善20例(22%)で, 無効は1例もなく, また3∼11年の連続使用による副作用は1例もなかつた。この治療法の鍵は, 生活指導によるアレルゲンを含みうる一般香粧品の併用の防止であり, またステロイド皮膚症における禁断症状対策の併用である。

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© 1989 日本皮膚科学会西部支部
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