西日本皮膚科
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症例
摩擦黒皮症
高山 紀子鈴木 正桜井 由美子富田 敏夫田嶋 公子川村 太郎池田 重雄野下 秋恵
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1984 年 46 巻 6 号 p. 1340-1346

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抄録

若い女子に好発し, 鎖骨や脊椎などの身体の突出した部位に沿つてみられる褐色色素沈着が近年注目されている。著者らは5例を経験した。自験例および既報告例69例について考えを述べた。ナイロンタオルなどで摩擦することによる機械的刺激が要因と考えられるので, 病名としてはfriction melanosisが適当と思われる。しかし, 機械的刺激だけでは本症を起すには十分ではなく, 使用法, 体型, 体質などの要因が備わつてはじめて発症するものと思われる。ほかに, 接触物質, 強い日光の照射も要因として問題になりそうだが, この点についてはさらに検討を加える必要がある。組織学的には, 乳頭下血管叢の周囲を主とする真皮上層の担色細胞の出現が特徴的である。アミロイドの沈着は見られないのが普通であるが, 沈着することもある。自験例のうち1例にアミロイドの沈着をみたが, これは, 摩擦によつて二次的にアミロイドが沈着したものと考えられる。したがつて, 本症と診断するために, アミロイドの有無にこだわる必要はない。治療としては, 摩擦をやめることが最も重要である。

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© 1984 日本皮膚科学会西部支部
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