2022 年 88 巻 6 号 p. 453-462
和歌山県沿岸の表層型浮魚礁周辺で漁獲されたカツオの移動,食性,肥満度および成熟を調べた。浮魚礁での標識放流後に再捕された39個体のうち,25個体が放流元の浮魚礁での再捕であった。胃内容物分析では,各漁獲日における餌生物の摂餌個体率は0-28.6%であった。卵巣の観察では,未熟段階が全体の76.9%と多く,産卵可能な状態の個体は少なかった。以上より,浮魚礁は高い集魚効果が示唆されたが,その周辺は必ずしも摂餌場となっているとは限らず,産卵規模は小さいと考えられた。