1986 年 28 巻 1 号 p. 12-18
抄録: マウス正常顎下腺細胞 (MSG細胞) の分離及び培養を試みた。顎下腺を細切後, コラーゲナーゼで消化し, 分離された細胞をコラーゲンゲル内に包理し培養をおこなった。MSG細胞は樹枝状形態を示しながら三次元的に旺盛に増殖するのみならずin vivoに類似した管腔形成を示した。一方線維芽細胞の増殖は全く認められなかった。さらに, MSG細胞は培養3週間前後有意のアミラーゼ分泌活性を保持していた。つまりMSG細胞をコラーゲンゲル内で培養することにより高い増殖能と分泌機能を保持した状態で維持することが可能であることが明らかとなった。今後この培養を用いて, 種々の薬剤あるいはホルモン及び成長因子の顎下腺細胞に対する影響を検討していきたい。