日本歯周病学会会誌
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溶存酸素測定装置を用いた歯周病原性細菌Actinobacillus actinomycetemcomitansに対する抗生物質の迅速感受性試験の検討
手塚 健二稲田 全規橋本 尚詞小川 智久江連 雅孝佐藤 悦子奥村 千晶新井 潤一郎河村 博石川 博鴨井 久一
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1999 年 41 巻 2 号 p. 201-209

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抄録

本研究は細菌の呼吸に着目し, 細菌培養溶液中の酸素濃度を測定することが可能な溶存酸素測定装置を用いた, 歯周病原性細菌であるActinobacillus actinomycetemcomitans (以下A. a.) の各種抗生物質に対する感受性の判定法を検討した。通性嫌気性グラム陰性菌であるA. a. は, 嫌気環境下および好気環境下のいずれの培養条件においても類似した増殖傾向を示し, A. a. が高い感受性を示す抗生物質であるテトラサイクリン, ミノサイクリンの存在下で増殖が有意に抑制された。さらに, 好気環境下で培養したA. a. の培養液中の溶存酸素量を溶存酸素測定装置により経時的に測定して酸素消費を検討した。培養液中の溶存酸素量はA. a. の総菌数に比例して減少し, A. a. による酸素消費が示された。また, これらの酸素消費はテトラサイクリンおよび, ミノサイクリンの濃度に依存して有意に抑制されたが, A. a. が感受性を示さない抗生物質であるバシトラシンおよびバンコマイシンでは酸素消費量に変化が認められなかった。以上の結果から, 溶存酸素測定装置を用いた薬剤感受性試験は歯周病原性の通性嫌気性菌であるA. a. に対して有用であり, 抗生物質の効果が迅速に判定できることが示唆された。

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