日本歯周病学会会誌
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Bacteroides, Actinobacillusに対する歯周疾患罹患者の血清及び歯肉溝滲出液抗体価について
堀野 一人
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1988 年 30 巻 2 号 p. 452-465

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抄録

歯周疾患罹患者におけるBlack pigmented Bacteroides (BpB) とActinobacillus actinomycetemoomitans (Aa) に対する血清及び歯肉溝滲出液 (GCF) のIgG抗体について検索した。
被検者を歯周組織が健康で平均年齢41.4歳のコントロール群1 (Con. 1), 同じく24.2歳のコントロール群2 (Con. 2), 成人性歯周炎罹患者である実験群1 (Exp. 1) 及びその中で歯周初期治療を終えた実験群2 (Exp. 2) の4群に分けた。
Exp. 1の血清抗Bacteroides gingivalis (Bg) 抗体価は他の3群より有意に高かったがGCF抗Bg抗体価には有意差は認められなかった。抗Bg抗体比 (GCF/血清) はExp. 1で0.28±0.05となり, Con. 1, Con. 2に比較して有意に低い値となった。BgはExp. 1のみについて検出されBpBの42.9%を占めた。またAaはいずれの群からも検出されなかった。血清抗Bg抗体価の高低とBg検出の有無を基準として付着の喪失量及びX線的骨吸収量をみると, 抗体価が低く, かつBgも検出されない群に比較して, 抗体価が高いか, あるいはBgが検出された群は有意に付着の喪失量及びX線的骨吸収量が大きかった。以上より, 歯周疾患における組織破壊にBg及び抗Bg抗体が関与していることが推測された。

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