日本歯周病学会会誌
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原著
エナメルマトリックスデリバティブを用いた先進医療の臨床評価と 歯周組織再生予測因子の検討
塩山 秀裕水谷 幸嗣青山 典生須田 智也田中 敬子遠藤 亜希子楠 侑香子山脇 史寛藤 原―高 橋 香木下 淳博荒川 真一小田 茂和泉 雄一
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2014 年 56 巻 3 号 p. 302-313

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抄録

要旨:歯周組織再生を目的として,エムドゲインゲル(EMD)を用いた「歯周外科治療におけるバイオ・リジェネレーション法」が行われている。東京医科歯科大学歯学部附属病院では,2007 年 10 月に先進医療としての認可を厚生労働省より受けた。本研究の目的は,先進医療として行われた EMD の臨床成績を評価し,歯周組織再生予測因子を検討することである。実施症例のうち,術後 1年時に検査が可能であった 138 名 204 部位について,プロービングポケットデプス(PPD),臨床的アタッチメントレベル(CAL),エックス線写真上での骨欠損深さの測定を行った。術後 1年時の平均 PPD,CAL,骨欠損深さは,いずれも統計学的に有意な改善が認められ,平均 CAL 獲得量は 2.5±2.0 mm であった。術前の各評価項目別の CAL 獲得量は,術前 PPD が 6 mm 以上,CAL が 6 mm 以上,骨欠損深さが4 mm以上の部位,エックス線写真上での骨欠損角度が 29°未満の部位で有意に増加した。また,暫間固定を行った部位では CAL 獲得量が有意に大きく,喫煙者では非喫煙者に比べて有意に小さかった。術後 3年が経過した 67 名 101 部位では,平均 PPD,CAL で術後 1年時と同等の結果が得られており,改善した状態が維持されていることが示された。以上より,先進医療として適用された EMD は歯周組織再生治療として有用な治療法であると考えられる。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)56(3):302-313,2014.

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© 2014 特定非営利活動法人 日本歯周病学会
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