2004 年 51 巻 p. 121-125
ラグランジェ型の基礎方程式を摂動展開して求められた1次近似解と, 周波数応答関数を用いた2次元及び3次元傾斜海浜上における不規則波の遡上運動を解析する手法を提案した.提案した方法を用いると, 砕波帯相似パラメータが3以上の領域で, 斜面上で顕著な砕波が生じず, 岸沖方向にほぼ完全な重複波が形成される場合は, 入射角にかかわらず煩雑な数値計算を行うことなく不規則波の波先の運動を容易に再現することができることが分かった.ただし, 入射波高に対して汀線の変動が線形に応答するという取り扱いをしていることあるいは非砕波の状態を仮定した解析であることから, 現地海岸での遡上運動について検討は, 今後に残された問題である.