土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
東日本大震災津波後の名取川河口塩分変動と汽水生態系回復との関連
岩村 遼太郎田中 仁Nguyen Xuan TINH伊藤 絹子
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2020 年 76 巻 2 号 p. I_985-I_990

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抄録

 名取川河口は海産魚類稚魚の生育場としての役割を担っていることが知られている.しかし,2011年東日本大震災津波により河口部に大きな侵食が発生し,その後,過度に土砂が堆積するなどの地形変化が生じた.この東日本大震災による河口地形の大規模な変化は,河口感潮域の水産資源を支える機能に大きな影響を与えたと危惧されている.そこで本研究では,名取川河口の地形変化による塩分変動と,名取川河口に生息しているアサリの回復状況との対応を明らかにするため,実測データの解析,シミュレーションを実施した.その結果,東日本大震災津波やその後の地形変化の影響により名取川感潮域の塩分が変動したことがわかった.また,アサリの個体数と塩分濃度15ppt以下の期間は対応すること,高流量があるとアサリの個体数は回復しにくいことがわかった.

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