2020 年 76 巻 2 号 p. I_1057-I_1062
貧酸素環境耐性実験により,ホンビノスガイの生存時間を明らかにした.無酸素環境について,水温20℃では徐々にへい死が進むものの,100日経過後も生存する個体が見られた.一方,25℃では40日以内,30℃では15日以内に全数がへい死する結果となった.さらに,34℃以上では溶存酸素の有無に関わらず,数日以内にへい死したことより,水温に関する閾値となることが示唆された.実験結果をもとに,貧酸素環境におけるへい死量推定のためのモデル化を行い,水質観測値に対する検討を行った.近年見られる継続時間が3日程度の青潮が発生した場合,アサリでは資源量の5割以上のへい死が見られるのに対し,ホンビノスガイはへい死せず,貧酸素化解消期までの複数回の青潮や大規模な青潮に曝露された場合にも,約2割のへい死に留まるものと推測された.