土木学会論文集B2(海岸工学)
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論文
沿岸市街地模型を用いた津波・高潮浸水実験と解析
福井 信気森 信人Che-Wei Chang千田 優安田 誠宏山本 剛士
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2020 年 76 巻 2 号 p. I_373-I_378

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抄録

 津波や高潮の浸水想定では,10m以下の高解像度地形を用いて浸水計算が行われることが多い.しかし支配方程式は非線形長波モデルを用いることが多く,市街地の局所的な浸水過程に対する長波近似仮定の適用と数値計算モデルによる陸上での計算精度に議論の余地がある.陸上を対象とした浸水計算の精度検証には,市街地模型実験で得た水位や流速の点情報が使用されるが,陸上の流速と浸水範囲の面情報を同時計測した例は無い.そこで市街地を遡上する津波・高潮の浸水範囲や流速を時空間的に計測し,その特性を解析した.波が建物に到達する際には反射する・形状に沿って回り込む・建物を越流する3パターンの流れが発生し,越流しない場合は流れの向きに,越流する場合は流速の大きさに影響を与えることが分かった.また,建物高さや建物密集度が流速場に大きく影響することを示した.

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© 2020 公益社団法人 土木学会
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