2018 年 74 巻 2 号 p. I_439-I_444
津波対策のために海岸保全施設等を整備するには,数十年~百数十年程度と比較的発生頻度が高い設計対象津波(以下,「設計津波」とする)を設定する必要がある.しかし元来津波は発生頻度が低く,地域特性・履歴が異なるため,百年程度の発生頻度の津波を合理的に設定するのは難しい.鈴木ら1)は,北海道太平洋岸を対象に,地震調査研究推進本部の地震の平均発生間隔に着目し,地域海岸毎の津波の累積発生確率から設計津波対象を設定する手法を提案している.本研究では,海溝型地震に伴い発生する比較的発生頻度の高く周期性のある太平洋沿岸に比べ,地震の発生頻度が極めて低く,海域の活断層が複雑に走る北海道日本海側を対象として同手法の適用の可能性を検討した.