2018 年 74 巻 2 号 p. I_1375-I_1380
気象庁気象研究所の大気気候モデルであるMRI-AGCMに,スラブ海洋モデルを結合することで,海洋のフィードバックを考慮した大気気候モデルを開発した.大気海洋モデルを開発する上でAGCMに与えた式は,スラブ海洋モデルに基づく海水温低下式であり,海上風速に依存する冷却係数が海水温低下に重要な役割を果たす.大気および海洋再解析値により最適化した海水温冷却式を用いて,ある台風の発生から消滅までを追った短期解析と,25年間の気候計算による長期解析の2種類の解析を行った.その結果,スラブ海洋モデルの影響により,台風の強度が低下し,実際に観測された台風の特性に近づいた.また,最大風速と最低中心気圧の関係に対しての影響は大きくなく,台風気候値として整合性の取れた結果となった.