2018 年 74 巻 2 号 p. I_1291-I_1296
3段ネスト高解像度海洋流動モデルとサンゴ卵・幼生を模した3次元Lagrange中立粒子追跡により,沖縄本島沿岸域における浮遊幼生の海洋分散とコネクティビティの出現特性および形成機構を明らかにした.合計約2427万個の粒子を用いたLagrange解析から,本島東海岸での北上流,西海岸での南下流によって特徴づけられる沿岸域を時計回りに周回する残差流が粒子分散パターンとコネクティビティ形成に対して重要であることが分かった.また,半閉鎖性内湾は湾スケールの局所的な停滞性の循環流によって強い粒子捕捉を促進するが,特に東海岸の金武湾と中城湾は,本島北端の辺戸岬と併せて集積域を形成し,分散パターンのノードとなる.したがって,沖縄本島におけるローカルな近距離コネクティビティ形成に対しては,本島を周回するように発達する時計回りの沿岸循環流と地形的な拘束が重要となることが示された.