2022 年 78 巻 2 号 p. I_1-I_10
都市が巨大地震に襲われた場合,人々の安全確保を目的として,法律に基づき都市再生安全確保計画が都市ごとに立案されている.名古屋駅周辺地区の同計画で示されている徒歩帰宅者数の時間変化予測について,シミュレーションにより量的に評価した.徒歩帰宅経路上の人流密度と人流速さの分析から,余裕を持ち安全側に大きく振った予測であることが明らかになった.予測にそった徒歩帰宅者数の時間変化を維持できる限り,人流による交通障害や群衆事故が生起する確率は低いと言える.予測とは異なり,時間当たりの徒歩帰宅者数が予測の4倍になると,人流が交錯するクロスポイントでは滞留が短時間で急成長し,歩道通行が不可能になることがわかった.