2019 年 75 巻 2 号 p. I_247-I_253
災害対応施設の配置計画を策定する際には,各施設が受け持つ人口を試算し,施設整備の優先度等に反映させることが求められる.これまで面積按分と道路ネットワーク按分による人口の割り当て手法の検討がなされてきたが,道路密度の疎密による分析結果への影響について検討した事例はみあたらない.本研究では,災害対応施設としてヘリコプターの場外離着陸場を取り上げ,市域に中山間地を含む愛知県豊田市を対象に人口割り当ての分析を行った.その結果,道路密度の疎密に関わらず,地域全体を俯瞰して勢力圏人口の傾向をつかむならば面積按分が有用であること,各施設の範囲および勢力圏人口を求める際は,特に中山間地域では,道路ネットワーク按分の適用が求められること,面積按分および道路ネットワーク按分による勢力圏分析の手法選択の閾値として道路距離と直線距離との比などの地域特性が指標となる可能性があることについて指摘した.