2022 年 78 巻 4 号 p. I_294-I_306
著者らは一連の研究の中で,軸力支持下において耐震性能の改変が可能なメタボリズム柱構造の開発を行っている.メタボリズム柱構造は,柱基部を二重構造とし,地震エネルギー吸収能を期待する可換部を外殻に,常時の軸力・せん断力を支持する永続部を柱内部に配置した構造である.本研究では,新たなメタボリズム柱構造として,メタボリズム柱構造の可換部に鋼製部材を適用した鋼製メタボリズム柱構造を提案し,その性能と部材の可換性について実験的検討を行った.その結果,提案構造が安定した履歴形状を示すと同時に,可換部を取り替えることで,耐震性能の新陳代謝が可能であることがわかった.また,提案構造では,永続部によって圧縮反力が担保されるため,可換部座屈後の柱の荷重低下を抑止できることが明らかとなった.