土木学会論文集A1(構造・地震工学)
Online ISSN : 2185-4653
ISSN-L : 2185-4653
地震工学論文集第38巻(論文)
1771年八重山地震における海底地すべり継続時間の影響評価
大角 恒雄Hemanta HAZARIKA
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2019 年 75 巻 4 号 p. I_60-I_72

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抄録

 平成25年度,文部科学省は「海域における断層情報総合評価プロジェクト」を開始した.日本海周辺海域の地震と津波のハザード評価に資することを目的としている.断層情報が不足している海域について,これまでに様々な機関が日本海周辺海域で実施してきた調査から得られた反射法探査データなどを収集し,最新のデータ処理技術を統一的に適用した再解析を行い,統一的な基準で断層情報を整備している.本プロジェクトは国立研究開発法人海洋開発機構(Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology : JAMSTEC)が実施する複数の機関で取得されている海底地下構造データを再解析し,1771年八重山地震に伴う津波が海底地すべりであると本研究は仮定し,津波の再現を目的とした.八重山地点における海底島棚の形状を復元し,海底地すべりが発生する前の海底地質形状を想定し,その変化を直接,津波伝播に適用して,沿岸の最大水位を推定するための,これまで解析上の検討が十分なされていなかった海底地すべりの継続時間を,動的荷重を作用させニューマーク法により算定した.強度物性は,陸上での強度試験結果を用いた.また,地すべりの継続時間を用いて,地すべりに起因する津波伝播解析を行なった結果,継続時間の影響が沿岸の最大水位に大きく影響することがわかった.

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