2015 年 71 巻 4 号 p. I_846-I_854
近年,我が国では地震による斜面災害が多く発生しており,中山間地域の震災後の孤立性を検討するためには斜面の地震時安定性や崩壊時の被害状況を評価する必要がある.本研究では,2008年に発生した岩手・宮城内陸地震における荒砥沢地すべりの挙動を,Smoothed Particle Hydrodynamics(SPH)法により解析し実被害との比較を行った.本手法の斜面崩壊に対する妥当性を検討したところ,おおよその地すべり領域,すべり土塊内のせん断破壊などを定性的に表現することができたが,地すべりの移動量が約1/5になるなど,定量的には十分な精度の解が得られなかった.