2015 年 71 巻 4 号 p. I_265-I_273
強地震時に下部構造へ伝達される慣性力を低減する上ですべり系支承の採用が有効である.ただし,すべり機能は強地震時のみに必要であることから,常時・中小地震時には上部構造の水平移動を拘束する復元力機能,強地震時には移動制限を開放するトリガー機能を有するノックオフ部材を配置し,さらにノックオフ後の過大な変位に対する変位制限装置を組み合わせた支承形式が有用と考えられる.この支承形式を採用して耐震設計法を行う場合には,破断による支承条件の変化や変位制限装置との衝突を再現できる動的解析の実施とそのためのモデル化の検討が必要である.そこで,本研究では,すべり支承,ノックオフ部材,変位制限装置からなる支承形式の地震時挙動および有用性を振動台実験により確認するとともに,再現解析を行い,ノックオフ部材および変位制限装置のモデル化について検討した.