2013 年 69 巻 4 号 p. I_148-I_160
2011年東北地方太平洋沖地震では,岩手県一関市にある中里地区館ニュータウン(4.8ha)の道路沿い高さ約10mの盛土法面が一部大規模な滑動崩落等により,建物の全壊1棟,大規模半壊7棟,半壊8棟,一部損壊1棟,未判定4棟の被害を受けた.そこで,被災を受けた地区の測量,地盤調査,建物傾斜等の調査を行った.被災した宅地地盤は,盛土厚5.0~7.0mの強風化泥岩の上のN値=3の極端に軟弱な地盤で斜面に沿って厚くなる流れ盤形状となっていた.特に法面の法尻からの大規模崩壊した宅地地盤は,法尻直下の地盤がN値=1の沖積層粘性土地盤であることが明らかとなった.本論文は,これら被災原因の分析を行い,今後の大規模盛土の復旧対策や滑動崩落防止事業の教訓を得ることを目的としている.