2012 年 68 巻 4 号 p. I_617-I_626
近年の強震観測網の充実により,断層近傍において短周期成分が卓越した大加速度振幅の上下方向地震動が観測されてきている.ラーメン橋脚における水平振動と同位相の変動軸力とは異なり,こうした上下方向地震動により,単柱式橋脚であっても橋梁の上下方向の固有周期に対応した短周期かつ大振幅の変動軸力が橋脚に作用することとなる.そこで,本研究では,そうした変動軸力がRC橋脚の耐震性に及ぼす影響を実験的に解明するため,静的正負交番繰返載荷実験に基づいて検討した.その結果,短周期かつ引張を含む繰り返しの変動軸力の作用により,軸方向鉄筋座屈後におけるコアコンクリートの損傷進展が著しくなること,最大引張軸力が大きいほど,その損傷領域が大きいことなどが明らかとなった.