2022 年 78 巻 2 号 p. I_673-I_678
徳島市沖洲地区にある人工海浜は,希少種ルイスハンミョウの生息地代償を目標の一つとして造成されたが,現状ルイスハンミョウはほとんど確認されていない.そこでルイスハンミョウの生息可能域拡大を目的とした覆砂が2021年7月に実施された.筆者らは,この覆砂が底生生物相に与える影響を明らかにするために調査を実施した.その結果,沖洲人工海浜ではニホンスナモグリが優占しており,2015年と比較してその生息範囲を拡大させていた.優占種は二枚貝であったが,アサリやソトオリガイの成体は確認されず,ニホンスナモグリによる負の影響が考えられた.覆砂域では周囲と比較し地盤高が高くなり底質粒径が大きくなっていた.加えて優占種であったニホンスナモグリが確認されず,コメツキガニが確認されるなど,他の調査地点とは異なる様相を呈していた.