2020 年 76 巻 2 号 p. I_138-I_143
世界中で再生可能エネルギーの需要が高まる中,波力発電に関する現状の技術レベルの向上に資する研究は不可欠である.著者らは,これまでに,エネルギー消費の多い都市を抱える内湾を対象として、港湾施設を利用した波力発電システムの開発を進めてきている.本研究では,内湾相当の静穏条件下で波動場,流れ場,波・流れ共存場を対象として実験を行い,それぞれの場における水車の回転特性と流速との関係を定量的に評価している.実験結果より,波動場に設置された場合の水車の回転周速度と流速の関係は,流れ場に設置された場合のそれとは異なる傾向を示すことが明らかとなり、異なる式で評価されることを示している.さらに,これらの知見を基に,波・流れ共存場に設置された場合の周速度と流速の関係についても定式化が行われている.