2015 年 71 巻 2 号 p. I_939-I_944
本研究は,近年各地で確認されている海藻群落が消失する磯やけ現象によって衰退している沿岸生態系の保全及び再生を目標に簡易的でかつ浅海域においても設置可能な小型漁礁を開発することを目的とした.格子状に設計した鋳鉄製の枠を組み立てて,既存の藻場への影響を考慮して,L.W.L‐2.0mの砂地に設置した.設置方法の検討として,非固定,鉄筋棒による固定の条件を検討した.
設置後の海藻の繁茂状況や,生物の蝟集状況の変遷についてモニタリングを行った結果,試験中にホンダワラ類といった大型海藻の繁茂は確認されなかったが,小型海藻の繁茂は確認された.また,貝類,甲殻類,魚類の幼魚または底魚が確認され,周辺の藻場群落とほとんど遜色の無い効果が認められた.