2012 年 68 巻 2 号 p. I_222-I_227
東北地方太平洋沖地震において,津波襲来時にコンテナや船舶が漂流して,構造物が被災した二次被害は甚大なものであった.漂流物には大型船舶も含まれていたことから,大型タンカー等が多く入港する日本の主要港湾において,地震津波の漂流物による被害の拡大化が懸念される.そこで本研究では,津波によって漂流した大型船舶が,湾岸線の長大橋へ衝突したことを想定して,衝突時の挙動および構造物への被害を明らかにするために,津波伝播解析と,精緻な橋梁全体系解析モデルによる衝突時の動的弾塑性有限変位解析を用いた数値シミュレーションを実施した.衝突力の算定においては近似的な解析手法の提案をし,対象橋梁の衝突部材が耐えうる最大の漂流物が衝突した場合の挙動について結果を示している.