2021 年 76 巻 5 号 p. I_967-I_976
近年,持続可能かつ効率的なモビリティを維持する手段としてMaaSが注目されている.乗り換えの存在は公共交通の弱みであり,MaaSによる乗り換え抵抗削減が期待される.その際,乗り換え抵抗の削減は公共交通ネットワークの在り方に影響を及ぼし,ネットワーク改変が必要となる可能性がある.本研究では,大都市圏郊外部に既存の都市間マルチモードネットワーク最適化モデルを適用し,乗り換え抵抗の削減が最適ネットワーク構成と地域の総消費者余剰に与える影響を分析する方法を示す.また,簡単な計算例を用いて分析・考察を行う.それにより,消費者余剰の拡大には,乗り換え抵抗の削減だけでなく併せて適切なネットワーク改変が必要であること,乗り換え抵抗の削減が特定モードの拡大または縮小を意味せず複雑に作用すること,を明らかにした.