土木学会論文集D3(土木計画学)
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和文論文
「物語化」された情報の提示が公共政策に関する態度に及ぼす影響の研究
川端 祐一郎高橋 祐貴宮川 愛由藤井 聡
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2018 年 74 巻 4 号 p. 287-305

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抄録

 1970年代以降,心理学等の諸分野において物語型のコミュニケーションや思考がもたらす心理的・社会的効果に関する実証研究が行われており,その知見は公共政策に関する合意形成過程への応用も可能であると考えられる.本研究では,情報の「物語化」操作の内容を具体的に示した上で,高知県黒潮町の津波対策事業に関する「物語性の強いシナリオ」と「弱いシナリオ」を用意し,両者が読み手に与える効果を比較する実験を行った.その結果,強く物語化されたシナリオはより大きな態度変容を引き起こすことに加え,その変容には「物語志向性」「物語への移入」「状況モデルの形成」といった要因が影響を与えることが示された.また,情報の物語化手順を明確化したことで,物語型コミュニケーションの実践利用の技法に関し,具体性のある示唆が得られた.

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© 2018 公益社団法人 土木学会
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