2014 年 70 巻 5 号 p. I_819-I_827
OECDによる環境的に持続可能な交通(EST)の概念など,交通システムを考える上で低炭素化や環境負荷の軽減が重要な課題となっている.都市間旅客交通において低炭素化を図ろうとすれば,航空や高速バス等の利用を抑えて鉄道への転換を図ることが課題となる.しかし鉄道はインフラの維持に大きな固定費用がかかるため,導入できる路線が限定される.そのため,一つの路線により多くの利用者を集約する必要性から,旅客に迂回を強いることとなり,その結果所要時間の増加につながる可能性がある.つまり,低炭素化とネットワークの利便性の間にはトレードオフの関係がある.本論文は,トルコを例として,都市間交通のマルチモーダルなネットワークを計画する際に,低炭素化の制約の強さがもたらす影響を,数理計画モデルを用いて明らかにする.