2013 年 69 巻 5 号 p. I_771-I_780
生活交通の確保を図るためデマンドバス等の施策が広まっているが,山間部等の過疎地域にも交通手段を持たない高齢者等が存在しており,お出かけ支援を考慮したサービスが必要となっている.このため,交通困難者を限定した移動支援策として,タクシー料金の一部を補助する制度が行われている.本研究では,タクシー補助制度を導入している自治体の取組についての特徴や課題を明らかにすることを目的とし,運営者へのヒアリングと助成実績等の比較に加え,対象者選定等のタクシー補助制度のあり方に対しての一般市民の意識調査を行った.その結果,高齢型は福祉型に比べて助成額が少ない傾向にあること,市民は市民一人当たり補助額が低い案に賛成しているが,困難者を限定し,モビリティを確保することを受容する市民も少なくないこと明らかになった.