2012 年 68 巻 5 号 p. I_1243-I_1251
本研究では,低炭素社会の実現に向けた次世代自動車,特に電気自動車(EV)の普及下における都市交通や環境改善に及ぼす影響,電力需要に関する分析を行う.EVはガソリン車と比較して走行費用が安くなるため,誘発需要を考慮できる統合型交通需要予測モデルを適用し,都市圏内の個々人の1日の活動・交通行動を再現する.2020年の名古屋都市圏で6%程度のEV保有率を仮定した場合,ピーク時の利用が多い就業者に対する保有促進が環境改善効率が高いこと,充放電施設整備は都心部を優先することが望ましいこと,また,EVの充放電による電力需要への影響は名古屋市全体では数%であるが,EVの駐車状況に応じて地区別では-7~8%の変動があることを示した.