2019 年 75 巻 2 号 p. I_541-I_546
湧水起源の都市小河川において,希少魚種であるホトケドジョウLefua echigoniaを対象とする網羅的な生息環境調査を実施し,得られたデータから生息環境評価モデルを構築した.月一回の頻度で2年間実施した現地調査の結果に対してランダムフォレスト(RF)を適用した.その結果,高い再現性が得られたとともに,本種の生息環境として,流速が重要であることが示唆された.生息場ポテンシャルを示す応答曲線により,20 cm/s以下の低流速域に加え,50 cm/sを超える条件において生息場ポテンシャルが高く評価された.これは,既往の研究における報告と相反するが,対象水域には多くの大礫や植生が存在していることから,これらによる流速緩和効果が本種の分布に寄与したと考えられる.今後は,遊泳能力の定量評価等による本種の生息環境特性の理解深化が課題である.