2018 年 74 巻 4 号 p. I_721-I_726
洪水波の伝播特性の異なる河川に対して,データ同化を導入した計算を行う際に精度を保証する上で必要な観測精度や間隔を客観的に評価する指標としてペクレ数を提案し,その適用性を矩形断面,実河川の両者で検証した.洪水波の伝播特性を,河床勾配と洪水波形により複数設定し,観測の精度と間隔を変動させて,真値に対し誤差を含んだ条件で粒子フィルタを導入した計算を行い,真値と計算結果との差異を比較したところ,河床勾配が小さく,洪水継続時間が短いほど差異が大きくなる結果となった.洪水波の移流及び拡散の比率を表すペクレ数を算出したところ,計算の差異が大きいものほどペクレ数は小さくなる関係が明らかとなり,これによりペクレ数によって精度を保証する上で必要とされる観測の精度や間隔を把握することができることが示唆された.