土木学会論文集B1(水工学)
Online ISSN : 2185-467X
ISSN-L : 2185-467X
水工学論文集第62巻
低緯度河川における水温の決定要因
徳田 大輔金 炯俊山崎 大沖 大幹
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2018 年 74 巻 4 号 p. I_583-I_588

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抄録

 河川水温は物質循環や人間活動に影響を及ぼす要因の1つである.しかし低緯度地域の河川では,既往研究の指摘する気温-水温関係が成立たないことが本研究によって発見されたため,河川水温の決定要因の解明を試みた.本研究では,移流や氾濫といった水動態が水温形成に与える影響を全球河川水温モデルHEAT-LINKによって検証した.その結果,現実的な水動態の考慮は水温の再現性を向上させ,また氾濫が水温に与える影響は流域によって異なることが分かった.すなわちアマゾン川とメコン川では,氾濫原は短波放射の吸収率増加によって水体を温める効果を有する一方で,低温期のラプラタ川では水面面積の拡大に伴う蒸発量の増加によって水体を冷やす効果が見られた.また水温鉛直成層に関する実験から,アマゾン川での水温の季節変動には成層の発達が影響している可能性が示唆された.

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© 2018 公益社団法人 土木学会
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