2018 年 74 巻 4 号 p. I_133-I_138
森林,畑地,湿地,および牧草地,等,様々な土地利用がモザイク状に分布する釧路川流域を対象として,陸域起源の溶存有機炭素の総流出量を定量化し,将来予測するためのシンプルなモデルのプロトタイプを構築した.釧路湿原の上流の一部の小流域と河口を含む流域全体での溶存有機炭素濃度を現地調査し,膨大な炭素源を有すると考えられる釧路川流域からの平水時と融雪期を含むイベント時の面源からの流出負荷特性を明らかにした.CMIP5による全球気候モデルの将来予測値を簡易的な溶存有機炭素の流出モデルに組み込むことで,将来の釧路沿岸域への溶存有機炭素の流出量は季節的に減少する時期があるものの,通年においては増加することが予測された.