2017 年 73 巻 4 号 p. I_211-I_216
メソ対流系の線状降水帯に対する数時間先の降水予測精度向上を目的にデータ同化実験を行った.データ同化システムはCReSS-LETKFを用いて,XRAINで観測されるドップラー風速,レーダー反射強度,および固体降水混合比をそれぞれ同化した.メソ対流系維持の予測を目的とした実験では,データ同化することで1時間先まで降水予測精度向上が見られ,固体降水を含めた全ての観測値を同化した実験が最も精度が高いことを示した.メソ対流系発生の予測を目的とした実験では,固体降水の同化による降水予測精度への効果はほとんどなかったが,気温低下を引き起こすという狙いを達成することができた.コンポジット解析により大気中下層における気温低下が本事例における発生要因であったことを確からしく示した.