2022 年 78 巻 5 号 p. I_151-I_156
本研究では,気象情報として扱われている天気図から前線を抽出する手法を構築し,34年間分の天気図に適用した.前線をグリッドデータとして扱うことが可能となり,6, 7月の九州地方における降雨のうち,前線の周辺100キロメートルでの降雨が占める割合は3割以上であることを示した.さらに,前線が九州地方において南北方向に移動する時に通過した領域における空間平均降雨量は,前線が約300キロメートル移動した時に最大となることを明らかにした.その時の天気図パターンより,前線の南北移動には,前線を伴う低気圧の移動や台風・熱帯低気圧の接近,高気圧の張り出しが影響していることが示唆された.