2020 年 76 巻 7 号 p. III_535-III_542
港区では,類型化された降雨ごとに事前にモデル計算した大腸菌濃度変化データベースを用いて,お台場海浜公園における水浴の可否を判定する海水浴予報システムを開発してきているが,その予測精度の向上に課題がある.そこで,糞便汚染に直接的に影響を及ぼすCSO発生量を反映できるように,東京都区部における降雨の類型化のための特性値の変更を試みた.まず,CSO発生の閾値となる降雨強度を算出して,CSO発生量を反映させるための新たな降雨強度や積算降雨量を定義した.また,降雨継続時間から無降雨時間を差し引いた降雨時間を用いることを提案した.そして,新たな特性値を用いた改変法と,従来の時間最大降雨強度,降雨継続時間,積算降雨量を用いる手法による降雨の類型化結果を比較した.改変法で類型化された降雨グループ内のCSO発生量のばらつきが大幅に小さくなる傾向が認められた.このことから,改変法によりCSO発生量やその分布が類似した降雨イベントが類型化されたことが示された.